ビジネスパーソンがいまお金について真面目に考えるべきこれだけの理由

【画像】日本のお金とさまざまな人々

給料が上がらない時代が続くなか、老後の生活に不安を感じる人の割合が、年々増えています。

実際、会社員の平均年間給与は、1998年を境に減少傾向にあります。「民間給与実態統計調査」(国税庁)によると、2005年の平均年間給与は371万円だったのに対し、2015年は361万円へと10万円減。1985年の316万円から、10年後の1995年に410万円と大きく増加している私たちの親世代とは、あまりに対照的です。

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10年前といまを比べて、自分の給与がどれだけ増減しているか。皆さんは、ふり返って考えたことがありますか?

老後の生活に「不安を感じている」が8割超

「生活保障に関する調査」(2016年度速報版、生命保険文化センター)によると、老後の生活に対して「不安感がある」人の割合は、85.7%にものぼっています。「国民生活に関する世論調査」(2016年、内閣府)でも、54%が「老後の生活設計について」不安を感じると答えています。

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では、昔はどうだったのか? 「国民生活に関する世論調査」を見てみると(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」は1998年以降の調査)、老後の生活に不安を感じる割合は、1991年で40.5%。親世代がバリバリ働いていた25年前、老後に不安を抱いている人はまだ全体の4割程度だったのです。私たちの世代は、親の世代よりもかなり強く、老後生活に不安を抱いていることがわかります。

年金や退職金だけでは「足りない」

私たちの世代が老後に不安を感じているのは、給与の減少のほかにも、理由があるようです。前出の「生活保障に関する調査」によると、不安の要因として、「公的年金では不十分」(80.9%)「退職金や企業年金だけでは不十分」(38.1%)が挙がっています。老後の生活資金の当てにしたいお金が「足りない」と考えている人は、じつはこんなにたくさんいるのです。

こうした背景もあり、「老後の生活資金のために貯金をしている」割合が増えています。「家計の金融行動に関する世論調査」(2016年、金融広報中央委員会)では、70.5%という高い数字が出ています。2007年の60.9%と比べると、貯金への意識の高まりが確実に感じられます。

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ところがその一方で、「金融資産がゼロ」の世帯も2016年で30.9%と、いまだ大きな割合を占めているのも現実。年齢別に見ると、収入が低い20代の比率が45.3%と高くなっていますが、30代で31.0%、40代でも35.0%と、まったく貯金を持たない人たちも少なからずいることがわかります。

「余裕がないから仕方ない」の先にあるのは破たん

「お金を貯めない理由としては、『経済的な余裕がないから』といった理由が大きなウェイトを占めていますが、しかし、それで『仕方がない』と、何もしなければ、老後の生活は必ず破たんしてしまいます」

こう警笛を鳴らすのは『いわゆる「当たり前の幸せ」を愚直に追い求めてしまうと、30歳サラリーマンは、年収1000万円でも破産します。』の著者であるファイナンシャルプランナーの小屋洋一さん。

そうは言っても、日々の生活に必死の私たち。いまを犠牲にして老後の資産づくりを優先させるなんて、正直できないハナシです。それに、親も何とか老後を送っているし、自分も何とかなるんじゃないかと思ってしまいますよね。でも、小屋さんはそんな甘い考えに「ノー」。

「多くの人が、親世代が『当たり前』としてやってきたライフスタイルを疑うことなく踏襲しています。たとえば、『親も建てたから』という理由だけで、ちょっと背伸びをして家を購入した方も多いのではないでしょうか。あるいは、自分が私立の高校に進学したから『自分の子どもも行かせねば』と考える方も多くいるはずです。しかし、親世代の『当たり前』と私たちの世代の『当たり前』はもはやまったく違います。親の暮らしてきた経済環境と自分たちの経済環境はまったく違うものだと認識する必要があります。それを意識しなければ、年収1000万円を超える方でも、散々な老後を送ることになりかねません」(小屋さん)

では、私たちは、何から行動を起こせばよいのでしょうか。

「まずは現実を見ることです。公的年金や退職金について『不安だ』と、ただ漠然と感じるのではなく、もう一歩踏み込んで、しっかり現状把握し、計画をつくることが肝心です」(小屋さん)

1000万円預けても年2500円しか増えない定期預金

さて、皆さんは公的年金について、老後どのくらいもらえるか、具体的なイメージを持ったことはありますか? 私はこれまでありませんでした。居酒屋で同僚と「どうせ減っちゃうよ」と盛り上がって、それで満足して終わり。皆さんも同じでは?

年金に強いファイナンシャルプランナーの北村庄吾さんは、こう話します。

「年金は、現役世代の人から徴収した保険料を、高齢者に年金として給付する仕組み(賦課方式)です。1960年代、約11人の現役世代が高齢者1人を支えてきましたが、いまは2.3人で高齢者1人、2030年には1.8人で1人を支えることになります。これを知るだけでも、公的年金に対してリアルな危機感を持てるのではないでしょうか」

では、退職金はどうでしょう。じつは、「就労条件総合調査」(厚生労働省)によると、定年退職金額(大卒)は、この10年間でおよそ500万円も減っているのです。

頼みの綱の公的年金と退職金が危ういとなると、ほかの方法で老後の生活資金を捻出する必要が出てきます。真っ先に浮かぶのは、銀行や郵便局への預貯金でしょう。が、私は近年、それも過去の幻影にすぎないことを実感する機会がありました。母が他界し、母の定期預金を解約したのですが、その利率の悪さには本当に驚かされました。生前、母は「定期預金は金利がよいから預けているの」と言っていましたが、そんな時代はとっくの昔に終わっていたのでした。

1980年代後半から90年代初頭のバブル期、定期預金の金利は6%超でした。つまり、1000万円預ければ、年間60万円もの利息がついていたのです。しかし、いまはせいぜい0.025%程度。1000万円預けても、利息は年間たったの2500円です。

いまこそ真面目にお金と向き合うとき

2013年、英国オックスフォード大学が発表した、アメリカの雇用事情を分析したリポートが話題を呼びました。700以上ある職業の47%がコンピュータ化され、その分仕事がなくなる可能性があると結論づけたのです。そうした分析と足並みを揃えるように、日本の上場企業の倒産件数は、1992年から10年間で76件だったのが、2012年からの10年間で139件へと倍増しています。私たちがこの先ずっと定年まで、いまの仕事を続けられるかどうかすら、もはや誰にもわかりません。

ここまで見てきたように、年金削減、退職金減額、低金利、さらにはテクノロジーの発展による時代の急激な変化など、私たちの暮らしの未来は、かなり見通しが悪くなっています。小屋さんは強く警鐘を鳴らします。

「30〜40代のビジネスパーソンは、お金について、いまこそ真面目に向き合うべきです。無計画に暮らしていて、気づいたら老後になって、お金がなくて手遅れ、といった状況に陥らないように、しっかり周到に準備をしておくことを強くおすすめします」

(文・永峰英太郎)

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