投資のプロに会いに行く!短期のお金ニーズを支える「NISA」って何?

【イメージ】給与所得

株式や投資信託などで、たとえば、100万円の利益が出たとします。そのとき、みなさんが実際に手に入れられる金額は、いくらだと思いますか?

結論から先に言えば、約79万円です。「え?全額じゃないの?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。

なんとか税金を安くする方法はないか

なぜこんなに目減りしてしまうのかと言うと、利益に対して、20.315%の税金(所得税+復興特別所得税+住民税)がかかるためです。2013年までは軽減税率による減税があったため、税率は10%でした。

正直なハナシ、20%って高いと思いませんか? 株式で1万円の利益が出たとすると、税額は2000円。これは、現在の定期預金(金利0.01%)に2000万円を預けた場合の、1年間の利息と一緒です。

なんとか税金を安くする方法はないだろうか――。

そんなとき、本屋さんでふと目にしたのが、2014年に始まった「NISA(少額投資非課税制度)」の関連本でした。内容をざっと読んでみると、株式や株式投資信託などで利益が出ても、税金がゼロになる仕組みなのだとか。

「こんなうまい話に乗らないのはもったいない!」ということで、『ジュニアNISA入門 口座の作り方、買い方、増やし方がカンタンにわかる!』(ダイヤモンド社)などの著書がある、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんを直撃しました。

非課税はうれしいが、制限も多い

NISA(ニーサ)は「少額投資非課税制度」、すなわち、定められた投資枠内から得られた有価証券の配当金や値上がり益を非課税とする制度のことです。イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISA(Nippon ISA)なので、NISAという愛称がつけられたとか。

「ご指摘のように、NISAを活用して非課税口座を開設することで、株式投資信託などで得た利益が全額非課税になります。50万円の利益に対し、ふつうなら約10万円の税金がかかるところが、一切かからないのですから、メリットは大きいと思います。ただし、投資額には上限があって、1人年間120万円までなんです」

いえいえ、十分です! 株式投資信託の金利を4%と仮定して、月に3万円(年間36万円)ずつ投資すれば、20年間で約1100万円にもなります。老後必要と言われる3078万円(フィデリティ退職・投資教育研究所の調査[2015年7月]による)の資産形成にも大きく貢献してくれるはず・・・。

「ところが、残念ながら非課税口座で20年間運用を続けることはできないんですね。NISAの非課税期間は最長5年間で、投資額は最大600万円(年間120万円)まで。さらに言うと、制度自体が2023年で終了を予定しています」

現在の制度は2023年で終了予定

20年間無課税はさすがに話がうますぎるなとは思っていました。実際には、2017年中に非課税口座を開設して運用をスタートさせたら、5年後の2021年末までは利益分が非課税になるということなんですね。

「非課税期間の終了後、運用した金融商品は『現金化』か『課税口座に移管』することになりますが、もうひとつの選択肢として、『翌年のNISA枠を利用して継続保有する(ロールオーバー)』を選ぶこともできます」

ただし、継続保有する場合は、自分で手続きを行う必要があります。放っておくと、自動的に課税口座に移管されてしまう可能性があります。また、制度自体が2023年で終了する予定なので、継続保有の限界もあります。

「NISAの投資額は年間120万円が上限ですから、ロールオーバーさせるにしても、運用利益が出て上限を超えた分については、非課税枠は利用できません。『現金化』か『課税口座に移管』の二者択一になります」

なお、2017年度の「税制改正大綱」によると、この金額制限は2019年1月に撤廃される予定だそうです。

【画像】NISA特設ウェブサイト

金融庁によるNISA特設ウェブサイト(http://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/)。説明がわかりやすくて便利。

初心者の投資の勉強にぴったり

いかがでしょう。ここまでは、制度の概要を深野さんに尋ねてみましたが、NISAに魅力を感じられたでしょうか。投資になじみのない人にとっては多少難解で、しかも2023年までの制度ということもあり、「老後の生活資金」を貯めたいといった長期的なビジョンを描いている人にとっては、あまり食指が動かない話かもしれませんね。

実際、NISAの非課税口座は2016年6月末時点で1029万口座を数えますが、稼働率は6割程度にとどまっています。

「制度が始まる前、投資の年間上限額は100万円、非課税期間は3年の予定だったのですが、政府の政策により非課税期間は5年間に延長されたのです。しかしその後も調整がくり返され、いまでは非常に複雑な制度になってしまいました。さらに、株式や株式投資信託等の利益と損失は、通常の課税口座であれば相殺が可能で、損益通算によって(合算することで課税所得を圧縮して)税金を減らすことができるのですが、NISAで投資した分は、この損益通算が一切使えないデメリットもあります」

深野さんは、発送の転換をオススメします。

「NISAは、投資の勉強のために活用すべき制度だと、割り切ってもよいと思います。利益が非課税になるのが魅力的なのは事実ですから、投資の世界を知るための取っかかりとして利用してみてはいかがでしょうか」

NISAの対象となる金融商品は、上場株式や株式投資信託、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など、少額からでも投資できるものが多いので、初心者にぴったりです。

長期運用の「積立NISA」に期待

ところで、前出の税制改正大綱によると、NISAの新しい枠組みとして「積立NISA」が創設される予定だそうです。

「現在NISAを利用しているのは、高齢者層が多いんです。最も多いのが60歳代(26.0%)で、続いて70歳代(19.1%)。60歳代以上だけで過半数を超えます。収入のさほど多くない若い世代にとっては、年間120万円という投資限度額は現実感のわかない数字でしょうし、一方で非課税期間が5年間というのは若い世代が運用するには短すぎます」

そのあたりを改善したのが、これから出てくる「積立NISA」のようです。

「積立NISAは、非課税となる限度額を年間40万円として、非課税期間を20年間とする制度となっています。まだ創設が正式に決まったわけではありませんが、導入されれば長期間の運用ができるようになり、若い世代の資産形成にも役立つ面が出てくると思います。視野に入れておいてよいかもしれませんね」

積立NISAは、いまのところ2018年1月にスタートする予定となっています。投資額の上限は40万×20年=800万円。ただし、NISAと積立NISAを併用して利用することはできません。どちらかを選んで利用することになり、また将来的には積立NISAに一本化されると言われています。さらに積立NISAでは、利用できる商品も一定の条件を満たした株式投資信託などに制限される予定です。

ほかの金融商品と併用しつつ利用すれば、老後の生活資金を貯める大きな武器になるかもしれませんね。

(文・永峰英太郎)

※本文記載の投資商品(NISAなど)には値動きがあり、元金を割り込むことがありますのでご注意ください

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